みどころ [Highlight]
展覧会趣旨
1795年、ロシア・プロイセン・オーストリアによる分割以降、123年の間独立を失ったポーランド。国を失った人々が自らのアイデンティティの拠り所としたのが、芸術そして文化でした。その中心地として重要な役割を果たしたのが、古都クラクフです。
19世紀後半、ポーランドの歴史や文化的逸話を大きなスケールで描き名声を博したのがヤン・マテイコです。クラクフ美術学校校長を務めた彼のもとからは、数多くの若き芸術家たちが巣立ちます。彼らは、祖国の独立を願いつつ、そこに自らの心情を結びつけ、象徴性に富み色彩豊かな独自の芸術を広い分野で展開しました。〈若きポーランド〉と呼ばれた彼らは、同時代の西欧の美術や浮世絵などの日本美術を貪欲に吸収しつつ、地方に残る伝統文化を発見・再解釈しながら、ポーランドの「国民芸術」の在るべき姿を模索しました。本展では、マテイコを前史とし、〈若きポーランド〉が生み出した芸術を包括的に、日本で初めて紹介します。
ヤン・マテイコ《1683年、ウィーンでの対トルコ軍勝利伝達の教皇宛書簡を使者デンホフに手渡すヤン3世ソビェスキ》
1880年、油彩/カンヴァス、クラクフ国立博物館蔵
本展はクラクフ国立博物館の全面的な協力のもと、クラクフ国立博物館を筆頭に、ワルシャワを含む複数の国立博物館や多くの個人所蔵家から招来した、マテイコそして〈若きポーランド〉の数多くの絵画ならびに版画、家具やテキスタイルなどの工芸品を含む約130点によって、前世紀転換期に花開いたポーランド美術の真髄をご覧いただきます。
みどころ
ポーランドの美術とは?
本展はその疑問に答えます。建国以来頻繁に国境線が変わり、14世紀には欧州最大の規模を誇ったにもかかわらず、ついには国家消滅を経験したポーランド。その歴史、自然、心を描いたマテイコそして〈若きポーランド〉の作品群が集結します。
ポーランドと日本、知られざる深いかかわり
クラクフ国立博物館には、フェリクス・ヤシェンスキが寄贈した世界有数の日本美術コレクションがあります。本展では、〈若きポーランド〉の芸術家たちに広く影響を与えた日本美術との関係にも注目します。
出品作の約9割が日本初公開
本展は、ポーランドの芸術のみならず、ポーランドの芸術家たちに焦点をあてる日本で初めての展覧会です。出品される作品のほとんどが日本初公開となります。ポーランド側の全面的な協力によって可能となりました。